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ドイツ連邦共和国 (1)
2005年 一般切手 (Biber Post)
以下の切手はドイツのBiber Postという私企業が発行したものです。
同社は、郵便事業に国立の郵政以外の競争相手を導入するというEUの決定を受けて2000年に設立されたました。設立当初は企業を顧客とした郵便を扱うことになっていたのですが、2005年からは個人の郵便も取り扱うことができるようになったようです。
同社がなぜフンデルトヴァッサー氏が手がけた建築物を描いたこれらの切手を発行したのか、よく分からないのですが、日本で建築されたものも2件取り上げられていて、興味深いセットです。
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63. Motorway Restaurant Bad Fischau Austria |
着工:1989年、竣工:1990年 |
ウイーンのWigastという会社は、1970年代に建設されたレストランを新しくしたいと考え提案を求めました。多くの建築家が現存する建物を取り壊す計画を提案したのですが、フンデルトヴァッサー氏は既存の建物を活用するという案を提示し、その案によって改装されたのがこの建物です。
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73. District Heating Plant Spittelau Wien |
着工:1988年、竣工:1992年 |
ウイーンのごみの焼却熱を利用する地域暖房施設です。フンデルトヴァッサー氏は、当初ごみの削減を先行すべきだとして、この焼却施設に反対をしていたそうです。しかし、地域の60,000世帯の暖房のために排出される排気のことを考え、一方この施設が排ガスの浄化装置を装備することを受けて、氏はこの施設の外観を設計することを受け入れました。
この施設は、氏の「技術とアートと環境の共生」に対する姿勢を示すものだとされています。
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74. Countdown 21st Century Monument for TBS Tokyo |
稼働:1992年 |
この時計は、東京放送(現TBSホールディングス)が2001年に創立50周年を迎えることを記念して1992年に設置されたものです。「ミレニアム時計」と呼ばれ21世紀へのカウントダウンを表示する時計として知られていました。
文字盤は東、西の両側から見ることができて、東側には漢数字、西側にはローマ数字で時刻が刻まれています。
切手には、「Asasaka」と記されていますが、これは「Akasaka」を誤ったものです。設置当時は横浜のTBSの敷地に置かれていたのですが、1994年に赤坂のTBS本社の敷地に移設されたということです。
フンデルトヴァッサー氏はこのモニュメントについて次のようなコメントを残しています。
「このモニュメントは人間と自然の間の調和を象徴するものです。上も下も、右も左も存在しない宇宙と同じように、有機的で美しい形で発展するサイクルが大事です。このモニュメントでは、同じ水が永久に流れます。植物の根の間を水が通り抜け、水が浄化されます。自然の法則と調和した恒久的な浄化と再生のプロセスを表しています。」
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81. Spiral River-hand, Drinking Fountain 1 Linz Austria |
着工:1993年、竣工:1994年 |
この噴水には大理石や花崗岩、蛇紋岩、陶器など、フンデルトヴァッサー氏が選んだ様々な材料が使われています。
氏は、この噴水について次のようなコメントを記しています。
「上に開いた手は、空から大地へ、また大地から空へという水の循環を象徴しています。掌の螺旋は私たちの生命線、命の創造的な成長を表し、人間と自然との和解の姿を表しています。」
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83. Living Beneath The Rain Tower - Plochingen Germany |
着工:1991年、竣工:1994年 |
南ドイツの都市Plochingenに居住地域と商業地域を統合した施設を作るという計画に、フンデルトヴァッサー氏はその中庭を設計するという形で加わったものです。
切手には「Hundertwasser Wien」と記されているのですが、外観からウイーンではなくこのドイツの建築物だと思われます。
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89. Children's Day-care Center Heddernheim Frankfurt |
着工:1988年、竣工:1995年 |
フランクフルトのヘッダーンハイムというところにある子ども用のデイケアセンターです。
工事に約7年という長期を要していますが、これにはさまざまな要因があったようです。
まず、かつて工場であった敷地の土壌が汚染されていることが分かり、工事を中断してその除染に時間を要したことがありました。
また、フンデルトヴァッサー氏の元のデザインでは塔は金色になっていたのですが、コストを下げるために青色に塗装された亜鉛のシートで覆うことに変更になるということもあったようです。これは新聞社の協力などにより金メッキとするための資金を募り、元のデザインが実現できました。
さらに、1992年には屋根のデザインが氏の承認を得ずに変更されるということがあって、氏が法廷に提訴するという事もありました。これは法廷外の和解により解決したのだそうです。
そのような経緯の後、1995年氏の立会いの下センターは開設の日を迎えたのだそうです。
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120. The Forest Spiral of Darmstdt Germany |
着工:1998年、竣工:2000年 |
ダルムシュタット建築協会がフンデルトヴァッサー氏に105戸の集合住宅の設計を依頼したことにより建設された建物です。
氏の設計は、敷地内に螺旋状に立ち上がる樹林のようにするというものでした。建物は敷地の南西の角から上昇する草地に始まり、最終的には敷地の南東の角で9階建ての高さになり、12階建て41メートルの塔が立つという形になりました。
右の切手には、「Lebende Hauser Wien(ウイーンの住宅)」と記してあるのですが、描かれた建物は左の切手に描かれた建物と同じもののように見えます。ウイーンの有名な集合住宅には右の切手のような部分はありませんので、何らかの手違いでこのようになったのでしょうか。詳細は不明です。
ご参考までに、右の写真は「The Forest Spiral of Darmstdt」のものです。
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123. Market Hall Staad am Bodensee Swtzerland |
着工:1998年、竣工:2001年 |
このホールは元々オーガニック製品を販売するマーケットとして設計されたのだそうです。瓶が埋め込まれた壁など氏のデザインの特徴的なものが取り入れられています。
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124. Maishima Sluge Center Osaka |
着工:2000年、竣工:2004年 |
大阪の舞洲にある大阪市の下水汚泥処理施設「舞洲スラッジセンター」です。同じ舞洲には氏のデザインによるごみ償却施設「広域環境施設組合 舞洲工場」があり、ここから蒸気の供給を受けて運転しています。
大阪にはこの舞洲の2施設の他に、扇町にある「キッズプラザ大阪」にも氏のデザインによる施設があります。
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128. Green Citadel of Magdeburg Germany |
着工:2003年、竣工:2005年 |
ドイツのマグデブルグにあるGreen Citadel(緑の砦)と呼ばれている建築物です。 この「砦」の設計はフンデルトヴァッサー氏が手掛けましたが、氏は2005年の完成を見ることなく2000年に亡くなりました。
建物には55戸の住居があり、1階には店舗やカフェ、上層階には幼稚園やホテルもあるということです。
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131. Kuchlbauer Tower Abensberg Lower Bavaria Germany |
着工:2007年、竣工:2010年 |
この塔は、ドイツのバイエルン州のAbensbergという町のビール工場にあります。
当初この塔は高さ70メートル、プラネタリウムや映画館、商業スペースを擁する建築物を想定して設計されていたということです。しかし、フンデルトヴァッサー氏がこの施設の設計作業中に逝去した後、バイエルン州から歴史的景観保護の要請を受け、塔は34メートルの高さにまで縮小されました。頂上には直径10メートル、重さ12トンの金色の「ボール」を頂くという独特の形態をしています。